Q6.ミカン農家の現状は?
やはり後継者が少ないですね。60代、70代が大半です。JAからは「これ以上、出荷量は減らさないようにしてください」と言われますが、生産者が増えない限り増えることはないでしょうね。
Q7.工夫はされているのでしょうか?
果実のみならず、農家の方ならご存知でしょうが、露地栽培に限って言えば、必ず表年と裏年があります。農家にとっては、表年に果実がなり過ぎてしまうと、価格が下がってありがたくないんです。
毎年同じくらい果実をならせるためにいろいろな工夫をしています。表年に果実をならせ過ぎないように念入りに摘果します。また、シートマルチを敷いて、果実の高品質化にも取組んでいます。雨を遮断して土壌水分をコントロールし、光反射効果を利用することにより、 糖度が高く着色に優れたミカンをより多く栽培する努力もしています。手間をかけただけ美味しくなるんです。
ハウスの大敵は台風ですね。デコポンを作っている農家の多くは、デコポンの品質が悪くなるので、台風が来てもなるべくビニールを貼ったままにしているようですが、ウチはハウスが壊れる方がダメージが大きいので剥がしています。
Q8.大変ですね。
そうしないと美味しいモノが獲れないんです。特にデコポンは、糖度不足ですとデコポンとして出荷できません(糖度13度以上・クエン酸1.0%以下)し、今の時期で言えば、年末の贈答用に間に合わなければ、大きく値が下がります。以前、東京に行った時に陳列されているデコポンを見ましたが、高かったですねぇ。
Q9.若い人たちに就農していただくには?
玉東町は、ミカン一本だけではなく、ミカンとスイカとか、ミカンと梨とか、またミカンとスモモなどを作ることができるので、いい場所だと思います。
ただ若い人たちにとって、収入もそうですが、休みが取れないのが大きいかもしれませんね。
現在、ウチは月に1日休みの日を設けていますが、子供がまだ小さいので、一緒に遊んだり、家族で出かけたりして1日が終わります。
あとは、熊本市内までそれほど時間がかかりませんので、仕事が終わってから友達と飲みにいくくらいですかね。
Q10.今後に向けての思いをお聞かせください。
今の収穫量を減らさないようにしていきたいですね。最近父が、古い木のほとんどを新しい木に植え替えました。私の代になって収穫が安定する木に植え替えてくれています。
何年か前にミカンの肥の曙という品種の木がありました。我の強い父ですが、「この木はどぎゃんすっと?」と聞かれたので、私は「デコポンにしよう」と言ったら、素直に聞いてくれました。今の私一人では決断できないことですが、今後は私の責任のもとでやっていくんだぞ!という父からの無言のメッセージだと思っています。
Q11.玉名地区理事としての思いをお聞かせください。
今年4月の総会から理事になりました。玉名は比較的真面目に活動していますよ。来年2017年が耕志会40周年で、えらい時に理事を引き受けてしまいました。ただ、引き受けて損はないと思っています。同じ就農されている方ばかりでなく、肥料関係の人がいたり、色々な人と話することで見識も深まりますし、人脈ができますし、情報交換もできます。上手に付き合っていきたいですね。
(2016年11月25日インタビュー) |