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笑顔が爽やかな古閑さん。
物静かながら、内に秘めた負けん気の強さがうかがえる。 |
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交配に適した洋蜂が、ハウスの中で大活躍。 |
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ナスに害のある虫を駆除してくれる天敵の虫。
なくてはならない相棒。 |
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1棟50m×6mのハウスが11棟繋がっている。 |
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先は熊本港、その先には雲仙も見渡せる、広大な田園地帯。 |
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Q8.自分で設計もされるんですね?
機械いじりが好きですね。小さい頃から、いろいろな機械を分解して組み立て直していました。高校は普通科でしたが、バイクにハマりました。レースに出たり、独学でバイクの修理をしたりしていました。大人になってもず〜っと続けたいと思っていました。家業ならそんな時間も取りやすいだろうと跡を継ぎました。
Q9.そうすると、趣味は機械いじりですか?
もっぱら、コンバインや農業で使う機械ばかりイジっています。家庭を持ち、万が一事故でも起こしたらいけませんので、バイクは諦めました。それでも操るのが好きなので、車を駆ってラリーもしました。それも歳とともに遠のき、子供が大きくなるにつれ、趣味の車も保留です。ずっ〜と我慢してきましたので、そろそろ(いじれる)趣味の車が欲しいなぁって思う今日この頃です。
先にも述べましたが、7月から8月の初旬は農閑期で、働く人間もリフレッシュ期間です。その期間は、旅行に行ったり家族サービスをするようにしています。普段の休みの日は、二人の息子が野球をしていますので、野球の試合を観戦するのが習慣です。
いろいろな生き方がありますが、私はよく部活に例えるんです。強豪校の補欠(コマ)でいるより、試合に出てチャレンジできる場でレギュラー(主軸)になる方が面白いという考え方です。 Q10.その面白さ・喜びとは、具体的に教えていただけますか?
跡取りと言っても若い頃は丁稚です。親からあれしろ、これしろと言われてする仕事ほど、面白くないですよね。でも、この時期に水をやる、こんな肥料をやるといった、一つずつ自分で判断出来るエリアを広げていきました。親との陣取り合戦、勝負ですね。徐々に仕事が面白くなってきました。
最近では、事業拡大をされるところが多くなってきています。私もそんな考えでした。量を生産し、収入が上がることに喜びを感じていました。それでも、農大での知識を生かし、土壌改良もしていましたので、以前からその品質が認められ、食品関係の方から分けてもらえないかという依頼もありました。しかしJAと契約していますので断っていました。最近になって、飲食店さんとのお付き合いができ、規格外の商品を納入するようになりました。うちの野菜の生産が終わり、納入できなくなった後のことです。その飲食店さんに、お客様からクレームが寄せられたそうです。「野菜の味が悪くなった」と言われ、「なんとか納入できんですか」と頼まれました。収入的には微々たるものですが、素材の良さを認めてもらう、そんな喜びにやりがいを感じています。
Q11.新たな可能性が感じられますね。
現在、機能性野菜と言われる商品のニーズが高まってきました。就農して以来、常に土壌改良を行ってきた甲斐あって、当園の商品には、アントシアニンや高たんぱく質が多く含まれています。ゆくゆくは、別会社を立ち上げて、そうしたニーズのあるところに販売していきたいと考えています。
壁にぶち当たることはあります。でもそんな時こそ、新しいことができるチャンスだったり、何か可能性が発見できたりすると思っています。ピンチの後にチャンスあり!です。
Q12.今後はどのようなプランをお持ちですか?
多くの農家で、旬の野菜を作らない、無い時期に作ろうと言うのが通例になってきています。その一方で、旬の時期(いわゆる路地栽培物)を作る人が少なくなってきています。廃業した農家や後継者不足と言われる農家が、路地野菜を作っているわけですから、旬の野菜が足らなくなってきています。ですので、これからは旬の野菜を作るのが面白いのかなぁ…って思っています。
今年、10アールの畑で試験的に路地でナスを作ってみました。旬の野菜ですから、ハウスのように交配作業も要らず、自然が育ててくれます。手間もコストもかからないのに単価は変わらないんです。利益率が高いということです。
茄子部会の中で、年間の秀品率や坪単価の良かった農家が表彰されます。翌年には、その農家にみんなで視察に行ったりして、切磋琢磨して頑張っています。熊本の農業全体の底上げに、また個々の売り上げにつながればいいですね。
Q13.地区理事としての思いを聞かせてください。
私も、もう10年以上理事をしていますが、そろそろ引き継ぎしたいですね。熊本地区は大所帯で、卒業して10年以上経ったような人たちは、地域や品種別の様々な会に所属し役に就いています。耕志会活動は後回しになって、なかなか機能していないのが現状です。まだ、そうした他の会のしがらみのない、卒業して10年以内の若手を中心とした組織にして、活性化させたいですね。次の世代にバトンタッチするために、できることを模索したいと思っています。
耕志会の皆様のご協力・ご尽力のほど、よろしくお願いいたします。
(2015年11月4日インタビュー) |