熊本県立農業大学校の同窓会「耕志会(こうしかい)」のホームページです。  

 
 
 
 
地区理事インタビュー
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耕志会のホームページでは、地区理事の方々の近況や仕事ぶりを取材させていただき、紹介してまいります。
第5回目は球磨地区の理事をされている中村 幸二(こうじ)さん。
あさぎり町で、トマトなどの栽培をしています。


Q1. 自己紹介をお願い致します。
 球磨地区で理事をしています中村幸二です。今年で50歳になります。
 高校は、地元あさぎり町の球磨農業高校(現在の南稜高校)卒業後、熊本農業大学校(以下農大)園芸学科野菜コースに学び、平成2年卒業の11期生です。
 現在は、両親と妻、息子2人の6人暮らしです。長女は結婚して家を出ましたが、孫が生まれました。
 長男は工業高校卒業後、よその会社で3年間働いて帰ってきて、今は家の手伝いをしています。地元に帰ってきて、仕事を手伝ってくれていますが、人付き合いの方が忙しいみたいです。
 次男は南陵高校3年生で、来年農大に入学予定です。私と全く同じ学歴(園芸学科野菜コース)になりますね(笑)。


Q2.略歴をお聞かせください。
 平成10年まで我が家はい草農家でした。長兄がいましたが、家は継ぎませんしたので、自然と次男の私が継ぐことになりました。
 農大卒業後、い草と並行してメロンも作っていましたが、平成3年の台風19号でやられてしまいます。元々、メロンを作りたくて農大に入学し、メロン栽培の希望を出したのですが、割り振られたのはトマト栽培でした。しかし、どうしてもメロン栽培をしたくて、先生に無理やりお願いして、メロン栽培の手伝いに行っていましたね。

Q3.仕事内容をお教えください。
 台風の被災後、国からの補助もあり近所の農家20軒くらいがまとめてトマトを始ることになったんです。私もトマトを栽培していた先輩から誘われていましたので、その補助を使って4連棟ハウス(21a)を建て、農大時代には興味のなかったトマト栽培(現在36a)を始めます。知識はありましたしね。
 現在ハウスでは、きゅうりが13a、ズッキーニが15a。他に米が190aになります。


 

青々と実ったきゅうり。


メインのトマトはまだ収穫前。きゅうりが出荷の時を待ちます。


真ん中が奥様。右が長男さん。

Q4.人手は?
 人手としては両親と妻、計4人でまかなっています。繁忙期に手伝いに来てくれる人がいるくらいですね。
 父は80歳になりますし、母も76歳ですので、無理をさせられない歳になってきました。露地で大豆を少し栽培していいますので、周りの畑で出来ることをボチボチとしてもらえればいいかなと思っています。
 先にも申しましたように、当てにするわけではありませんが、帰ってきた長男が手伝ってくれていますので、本当に助かっています。次男が農大を卒業する2年半先まで、何とか今の体制で頑張っていきます。


柔道と相撲で鍛え上げられた立派な体格の中村理事。
将来のことを真剣に考えている中村理事。
見渡す限りトマト。
4連棟のビニールハウス。
 

Q5.後継者がいるだけでもありがたいですね。
 そうですね。しかし、長男もそうですが、次男が農大を卒業しても、将来を考えたらやはり今のままでは夢がありません。
 我が家をそして地域を守っていくためにも、耕作放棄地を活用して、将来性のある作物を確立したいですね。

Q6.やはり耕作放棄地は問題ですか?
 そうですね。国の指導により、放棄地を使って無理やりでも何かを作っていますが、なかなか収益が上がらないのが現状です。
 冬はマイナス10度近くまでになることもありますので、朝晩の寒暖差が大きいというメリットもあります。暮らすには大変ですが、お茶の栽培とか、アールスメロンも糖度が上がっていいんですけどね。
 最近では、ミシマサイコという薬草(漢方薬)を作っている農家さんがいますが、私は手は出していません。収穫後にタネを取ったり手間がかかるのがネックですね。

Q7.何か手立てはありますか?
 幸い、本会の球磨地区の理事をしていますので、熊本の他の地区もそうですが、各県にある農業大学校からの情報を知り得る立場にいます。同じような環境で成功している地域から学んでいかにゃんと思っています。
 
本会だけでなく、農大でも色々と参加できるような機会を増やして欲しいと思っています。卒業して30年になりますし、将来のことを思ったら、色々農大にも働きかけをしたいですね。

Q8.農大に出かけていくのも大変ですね。
 いえいえ、そうでもなんですよ。昔に比べれば、バイパスも出来、スマートI.C.も出来て、随分アクセスが良くなりました。人吉市内はもちろんですが、八代市内も熊本市内もそれほど苦ではないですね。また地理的に宮崎・鹿児島にも出やすいですので、次男が仕事に加わってくれて、時間ができるようになったら、嫁さんといろんなところにドライブに行ければいいかなぁとは思っています。

Q9.プライベートのお話も少しお聞かせください。
 個人的には、伊勢神宮へ行ってみたいですね。
学生時代は柔道をしていましたが、農大を卒業して地元に帰ってきたら、相撲に誘われて様々な大会に出るようになりました。近いところでは、秋祭りの相撲大会に出場します。若手が参加してくれればお役御免なんですが、まだまだ現役で頑張っています。

 プライベートではありませんが、まだ消防団も入ってますし、休みの日にはソフトボールをやったりと、仕事以外に何かとしてます。次男が通う高校の役員もあと半年です。しかし、一つ減っても何か増えるかもしれませんけどね。

Q10.最後にビジョンをお聞かせください。
 年明けになりますが、GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理/企業のISOのようなもの)の認証を取得予定です。部会から5軒くらいを対象としており、GAPの審査を受ける前に、県の指導員的な方と農協の方が来て、「ココをこうしてください。アソコはこうしてください」と、あれこれ指導されます。しかし、仕事をしていれば商品が出入りするわけで、ずっと指導された状態が保てるわけがなく、なかなか言われる通りにはできませんけどね。しかし、GAP認証があることで、「安心・安全」を国や県が認めていることになるので、取引先が優先的に取引してくれる可能性が高くなるメリットはあるようですが…。
 目に見えてメリットがあるのが、「認定農業者」ですね。認定されれば、規模拡大の時には補助などの様々な支援を受けられます。5年毎の更新ですが、更新時には決まって「規模の拡大はいかがですか?」と言われます。現状のままではおかしいみたいに言われるのは、ちょっとですねぇ。個人ではなかなか難しいです。
 しかし、息子の代になって、農業に従事する上で少しでもメリットになるならと思って、変革していこうと思っています。


         (2019年10月21日インタビュー)

 

 


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